新しい学校のリーダーズが10月16日に東京・TSUTAYA O-WESTでワンマンライブ「無名ですけど東名阪福ワンマン〜あいつの弱点パイナポー〜」を開催した。東名阪福ツアーの千秋楽となる今回も会場には「今を全力で楽しめ」など彼女たちのアティチュードを感じさせる直筆のお習字が飾られた。ステージはバックスクリーンにDJブースと4棟のバックライトというシンプルなセッティング。会場BGMには彼女たちがリスペクトするビースティボーイズの「サボタージュ」が選曲された。
ライブはSUZUKAの「東京。新しい学校のリーダーズ、始めます」という声から「席替ガットゥーゾ」でスタート。「最終人類」では、馬跳びなども盛り込んだ組体操ような振り付けで、SUZUKAの上履きが脱げてしまうパプニングも。ツアーファイナルとあって、彼女たちも気合い十分。彼女たちのテーマである「全力ではみ出していく」を全身で表現した。
前半は「恋文」「宮尾」などアッパーなナンバーで盛り上げ、中盤は「恋の遮断機」「雨夜の接吻」「狼の詩」で昭和の世界観を令和の感覚にアップデートし、さらにコント仕立てで見せていく器用さも披露する。だが同時に全力。歌って踊って演じて。小さな体のどこにそんなスタミナが入っているのか不思議になる。
ライブの後半では待望の新曲「PINEAPPLE KRYPTONITE」を披露。この曲は90年代にビースティ・ボーイズとともに活躍したキーボード奏者のマニー・マークがプロデュースしたナンバー。当時もハイファイなシーンへのカウンターとして、彼の実験的でローファイなスタイルが注目されたが、2010年代もその精神は健在。時代を超えて新しい学校のリーダーズの4人に継承された。
今年、彼女たちはアジア人カルチャーをアメリカに広めた新世代レーベル・88risingと契約した。11月にはアメリカ・LAで開催されるフェス「Head in the CLOUDS」にATARASHII GAKKO!名義で出演することが決まっている。韓国のBTSや映画「シャン・チー」などの影響で、アジアのカルチャーがかつてないほど注目されているタイミングの出演となる今回は、大きな期待が集まる。
クライマックスでは彼女たちのヒップホップな面を表現した「NAINAINAI」「Freaks」なども披露。歌って、踊って、演じて、ラップまでできる。しかもどれもが良い意味で“日本的”であり、同時にグローバルな音楽シーンにアクセスする視野の広さも感じさせる。本編の最後に披露された「迷えば尊し」の青臭いエモさ、アンコールの「ケセラセラ」で聴かせる郷愁。古き良きをサンプリングして、現代にアップデートする。これが世界基準のポップミュージックの条件。しかも土地の個性も失わないのが彼女たちの特徴。全力以上の全力で15曲を駆け抜け、東名阪福ツアーを堂々と締めくくり、日本の新しい価値観を作る新世代の清々しさと底抜け勢いを十二分に感じさせる熱狂的な一夜となった。このエネルギーはLAの観客にもきっと伝わるはずだ。
<アーカイブチケット発売中>
発売期間:10月16日 21:47〜10月22日 23:59
料金:2,900円(税込)
販売サイト:https://atarashiigakko.saizen.app/